不動産投資で、不動産の購入・売却をする時には、不動産に関する法律を知っていることが重要となります。

都市計画法とは?
都市計画法とは?
都市計画区域は、
- 線引き区域(市街化区域+市街化調整区域)
- 非線引き区域:市街化区域でも市街化調整区域でもない都市計画区域
にわかれています。
市街化区域
市街化区域は、用途を定めて市街化を進める区域のことです。
市街化区域には、
- すでに市街地を形成している区域
- 概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
が含まれています。
市街化調整区域
市街化調整区域は、自然環境を残すために用途を定めないで市街化を抑制すべき区域のことです。
開発許可制度とは?
建築物の建築、特定工作物の建設のために、土地の区画形質を変更することを開発行為と言います。
開発行為を行う場合、
- 市街化区域内・・・1,000㎡以上の規模なら都道府県知事の開発許可が必要
- 市街化調整区域・・・規模に関わらず都道府県知事の開発許可が必要
となります。
市街地化調整区域で、農家などの人が自宅を建てる場合は開発許可は必要ありません。
開発許可の他に、建築基準法の建築確認が必要です。
また、開発行為に関する工事完了の公告があるまで、建築物を建築することはできませんが、土地の譲渡はすることができます。
建築基準法の用途制限とは?
都市計画法では、用途地域を住居系、商業系、工業系に分け、13種類の用途地域を定めています。
建築基準法では、工業専用地域に住宅を建ててはいけないなどの建築用途を制限しています。
1つの敷地で複数の用途地域にまたがる場合

用途地域別の建築制限の一例
建築基準法での道路の定義

- 道路・・・幅員(道幅)4m以上の道路
- 2項道路・・・都市計画区域にある幅員の4m未満の道。特定行政庁によって道路と指定されているもの
建築基準法には、建物と道路に接道義務とセットバックという制限が定められています。
接道義務とは?
接道義務とは、建築物の敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならないことです。
セットバックとは?
2項道路では、道路の中心線から2m下がった線を境界線と見なして、道沿いの建物を建て直す時は、みなし道路境界線まで下がって建て直さなければなりません。
また、道路の片側が川や崖地の場合は、道路と川や崖地との境界線から4mのセットバックが必要となります。
幅員3mの2項道路の場合
建ぺい率の制限
建ぺい率とは?
建ぺい率=建築面積/敷地面積
- 建築面積・・・建物の水平投影面積(建築物の1階が占める面積にほぼ等しい)のこと
- 延べ床面積・・・各階の床面積の合計のこと
建物の最大建築面積は、敷地面積の用途地域ごとに定められた指定建ぺい率をかけて計算します。
計算する際、敷地面積にセットバック部分は入りません。
最大建築面積=敷地面積×建ぺい率
指定建ぺい率が異なる用途地域にまたがって建築する場合、建ぺい率は加重平均で計算します。
※加重平均:各土地の建築面積の合計を敷地面積の合計で割る
建ぺい率の上限が緩和される時

※容積率は緩和されません。
建ぺい率の上限がプラス10%に緩和される時
- 建ぺい率の上限80%以外の地域で①、②を建築した場合
① 防火地域内に耐火建築物・耐火建築物と同等以上の延焼防止性能の建築物
② 準防火地域内に耐火建築物・準耐火建築物・これらと同等以上の延焼防止性能の建築物 - 特定行政庁の指定する角地にある建築物
建ぺい率の上限がプラス20%に緩和される時
上記のどちらにも該当する場合(10%+10%=20%)
建ぺい率の上限に制限がない時
防火地域内で、上限80%の地域に耐火建築物・耐火建築物と同等以上の延焼防止性能の建築物を建築した場合
容積率の制限
容積率とは?
容積率=延べ面積/敷地面積
建物の最大延べ面積は、敷地面積の用途地域ごとに定められた指定容積率をかけて計算します。
最大延べ面積=敷地面積×指定容積率
指定容積率が異なる用途地域にまたがって建築する場合、容積率は加重平均で計算します。
※加重平均:各土地の延べ面積の合計を敷地面積の合計で割る
前面道路の幅員によって容積率は制限される
前面道路の幅員が12m未満の場合は、用途地域別に制限があります。
- 住居系用途地域:前面道路の幅員×4/10
- その他:前面道路の幅員×6/10
これらで計算された数値と指定容積率の数値のうち、小さい方の容積率で制限されます。
2項道路のセットバック部分は前面道路の幅員に含まれます。
敷地が2つ以上の道路に面している場合は、最も幅の広い道路が前面道路となります。
防火規制とは?
建築基準法では、建築物が防火地域・準防火地域という2つの地域にわたる場合、原則、その全部が防火地域の規定を適用されます。
防火地域においては原則、階数が3以上または延べ面積が100㎡を超える建築物は耐火建築物としなければなりません。
日影規制・絶対高さ制限・斜線制限
建築基準法では、隣地の日当たりや通風、火災時の安全確保などを目的として日影規制・絶対高さ制限・斜線制限が定められています。
日影規制
日影規制は、建物が一定時間以上続けて隣家に日影を落とさないように、対象となる建物の高さや階数を制限するものです。
周辺の居住環境を保護するための制限となります。
適用地域
- 住居系の用途地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
原則、商業地域、工業地域・工業専用地域は適用外です。
絶対高さ制限
絶対高さ制限は、住宅地の景観や居住環境を保護するために、建築物の高さの上限を規制するものです。
10mまたは12mを超える建築物を建てることはできません。
適用地域
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 田園住居地域
斜線制限
斜線制限は、土地の日照や通風を確保するために、建物の高さを制限するものです。
- 北側斜線制限:住居専用地域・田園住居地域が適用
- 道路斜線制限:全ての用途地域が適用
- 隣地斜線制限:第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域以外の地域が適用
農地の取引には農地法

- 農地を転用(農地以外のものにする)・・・農業委員会への届け出、都道府県知事または市区町村の長の許可が必要
- 市街化区域内にある一定の農地転用・・・農業委員会への届け出のみ必要
- 農地をそのまま転売・・・農業委員会の許可が必要
- 所有する農地に自宅を建設・・・許可も届け出も不要
登記上は農地ではなくても現況農地である場合も同様となります。
土地区画整理法とは?
土地区画整理法とは?
土地区画整理事業の際には
- 減歩(げんぶ):対象地の所有者から土地を提供してもらうこと
- 換地(かんち)処分:代替地に立ち退いてもらうこと
があります。
市街化区域・市街化調整区域等に関わらず、土地区画整理事業における開発行為は、都道府県知事等の開発許可が必要ありません。
施行者
施行者とは、土地区画整理事業を行う人のことです。
都道府県や市区町村、国土交通大臣、土地区画整理組合、土地区画整理会社等が当てはまります。
土地所有者などの個人でも施行者になることはできます。
施行者は、換地処分を行う前に仮換地を指定できます。
仮換地
仮換地とは、換地処分の前に仮の換地としてしていされる土地のことです。
仮換地が指定されると、従前の宅地での使用・収益はできなくなります。
保留地
保留地とは、施行者が事業資金調達を目的として売却する土地のことです。
換地計画では、一定の土地を換地として定めずに保留地として確保することができ、これを保留地減歩と言います。
区分所有法とは?
区分所有法とは?
区分所有者は、所有者自身の意思にかかわらず、管理組合の構成員となります。

集会での議決
集会は管理者によって毎年1回以上の集会招集が必要とされています。
集会では、
- 建物の取壊し、建替え・・・区分所有者・議決権の5分の4以上の賛成
- 規約の変更・共用部分の変更・管理組合法人の設立・・・4分の3以上の賛成
- 管理者の選任または解任
などが議決されます。
分離処分の禁止
専有部分とその専有部分に係る敷地利用権を分離処分することはできない。
専有部分と共用部分の持分を分離処分することはできない。
と決まっています。
- 専有部分:住居、店舗、事務所など
- 共有部分:共同玄関、階段、廊下、エレベーターなど
共用部分の持分割合は、専有部分の床面積の割合によって変わります。
敷地利用権:専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利のこと。
管理費滞納
旧所有者が管理費を滞納している場合、新所有者に滞納分の支払い義務が生じます。