
不動産譲渡の際に必要な税金
譲渡所得とは?
この譲渡所得には、所得税・住民税が課せられます。
土地・建物の譲渡所得は、他の所得と分けて税額を計算する申告分離課税です。
譲渡所得金額(譲渡益)=総収入金額-(取得費+譲渡費用)
- 総収入金額:売却時の譲渡価額の合計額
- 取得費:売却した土地・建物の購入費・仲介手数料・建築代金・登録免許税・不動産取得税・印紙税などの付随費用の合計金額から減価償却相当額を差し引いた金額
- 概算取得費:取得費が不明な場合や取得費が譲渡収入金額の5%相当額を下回る場合は、取得費を譲渡収入金額の5%相当額とすることができる
- 譲渡費用:仲介手数料、広告料、売主負担の印紙税、古い建物の取り壊し費用、借家人の立退料などの売る為にかかった金額。固定資産税、都市計画税、修繕費などは含まれない。
不動産の譲渡所得税の計算方法
不動産の譲渡所得税額=譲渡所得金額×税率
税率は長期譲渡所得(所有期間5年超)と短期譲渡所得(所有期間5年以下)に分けられます。
- 長期譲渡所得・・・税率20%(所得税15%+住民税5%)
- 短期譲渡所得・・・税率39%(所得税30%+住民税9%)
贈与・相続により財産を取得した場合は、以前の取得日・取得費を引き継ぎます。
譲渡所得を計算する際の取得日は、贈与者・被相続人が取得した日となります。
居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例
マイホームの家屋や、敷地などの居住用財産を譲渡した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除することができます。
課税所得税額=譲渡所得金額-3,000万円(特別控除)
居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例が適用される条件
- 居住しなくなった日から3年を経過する年の12月31日までの譲渡であることが必要。
建物を取り壊した後に敷地を賃貸やそのほかの用途に使用した場合は居住用財産に該当しない。 - 配偶者、父母、子ども、生計を一にする親族等(特別関係者)への譲渡は適用外。
- 共有の居住用財産を譲渡した場合、共有者の所有権持分に応じて判定し、共有者1人につき最高3,000万円が控除される。
- 前年・前々年に同じ特例を受けている場合は利用不可。
この特例の適用を受けて、譲渡所得が0円となった場合でも確定申告が必要となります。
入居した年とその前後2年間にこの特例の適用を受けた場合、住宅ローン控除の適用不可となります。
居住用財産の軽減税率の特例
所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合、「居住用財産の譲渡所得の特別控除」の後の金額のうち、6,000万円以下の部分には、14%の軽減税率が適用されます。
6,000万円を超えた部分には、長期譲渡所得の税率20%が課せられます。
譲渡所得税額=課税長期譲渡所得金額×税率
- 6,000万円以下の部分・・・14%(所得税10%+住民税4%)
- 6,000万円超の部分・・・20%(所得税15%+住民税5%)
特定居住用財産の買換えの特例
所有期間を10年を超える居住用財産を買い替えた場合は、買換資産の取得価額に対する部分について譲渡益の100%相当分の税金を将来に繰り延べることができます。
特定居住用財産の買換えの特例が適用される条件
- 所有期間が10年超、居住期間合計が10年以上の居住用財産の譲渡である。
- 譲渡年に買換資産を取得し、譲渡年の翌年末までに居住開始したもの、または譲渡年の翌年中に取得見込みで、取得年の翌年末までに居住開始のものが対象。
- 譲渡資産の対価の額(売却額)が1億円以下。
- 買換資産について、居住用部分の床面積が50㎡以上、敷地面積が500㎡以下。
買換資産が耐火建築物の中古住宅の場合、築25年以内。 - 他の居住用財産の特例と併用不可。
適用後2年間は同じ特例を受けることはできない。
買換え特例の繰り延べ
譲渡資産の譲渡価額≦買換資産の取得価額の場合
譲渡益=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
への課税を全額繰り延べされます。
譲渡資産の譲渡価額>買換資産の取得価額の場合
収入(差額)に対し長期譲渡所得として20%(所得税15%+住民税5%)が課税されます。
買換資産の取得価額に対応する部分の譲渡益は課税繰り延べされます。
損益通算・繰越控除の特例
所有期間5年を超える居住用財産を譲渡した時の損失は、他の所得と損益通算・繰越控除することができる特例があります。
2021年12月末までの取引に適用できます。

- 居住用財産の買換えなどの場合の譲渡損益の損益通算および繰越控除の特例
居住用財産を譲渡し、新たに住宅ローンを利用して居住用財産を取得した(買換え)の時の譲渡損失を損益通算・繰越控除できる - 特定居住用財産の譲渡損益の損益通算および繰越控除の特例
住宅ローン残債がある居住用財産を譲渡した時の譲渡損益を損益通算・繰越控除できる(限度額:住宅ローン残高から譲渡価額を控除した額)
控除しきれない時は、翌年以降3年間にわたって繰越控除することができます。
他の居住用財産との併用は不可で、適用後2年間は同じ特例を受けることはできません。
空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
被相続人の居住用財産(空き家)を相続した相続人が、家屋または取壊し後の土地を売却した場合、譲渡益から最高3,000万円を控除されます。
2016年4月1日~2023年12月末までの間に譲渡した場合に適用されます。
課税所得税額=譲渡所得金額-3,000万円(特別控除)
空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例が適用される条件
- 譲渡価額が1億円以下
- 相続開始日から3年を経過する年の12月末日までの譲渡
- 相続開始直前まで被相続人の居住用家屋・敷地であったもので、その後譲渡時まで事業・貸付・居住用に使われていないこと。
- 1981年5月末日以前に建築された一戸建てであること
- マンションなどの区分所有建物ではない
- 親・子ども・夫婦など特別関係があり人に対して譲渡したものでないこと
- 確定申告に被相続人居住用家屋等確認書の添付が必要
- 複数の相続人が共有で相続し売却した場合、各相続人それぞれが最高3,000万円の控除が可能
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例とは併用不可
- 小規模宅地等の評価減の特例と併用可
不動産取得の際に必要な税金
不動産所得とは?
不動産所得には、所得税が課せられます。
不動産所得=総収入金額(賃貸料、敷金、礼金、保証金)-必要経費
- 総収入金額:賃借人に返還しない分の敷金や保証金を含む
- 必要経費:建物の減価償却費、固定資産税、借入金の利子を含む
所得に対する所得税・住民税、借入金元本の返済分は含まない
損益通算できる不動産所得の損失
不動産所得に損失(赤字)が出た時は、他の所得の黒字と損益通算を行うことができます。
しかし、不動産所得の金額の損失のうち、損益通算の対象外となるものもあります。
- 別荘等のように主に趣味、娯楽、保養または鑑賞目的で所有する不動産の貸付けに係るもの
- 不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入した土地等を取得するために要した借金の利子に相当する部分の金額

借地権にかかる税金
土地に借地権を設定し、対価として受け取った権利金などの一時金は、原則として不動産所得となります。
しかし、土地の価額の2分の1を超える権利金は、土地の一部分を譲渡したものと判断されて譲渡所得となります。