
不動産投資を行う時の採算性や収益性を判断する指標に、投資利回りとDCF法があります。
投資利回りの種類と計算方法
投資利回りは、投資額に対してどれだけの収益が得られるかを判断する指標で
- 表面利回り
- 実質利回り
- キャッシュ・オン・キャッシュ(自己資本手取額利回り)
- 投下資本収益率
の4種類があります。
表面利回り
表面利回りは、単純利回り、グロス利回りとも言われていて、年間収入合計の総投資額に対する割合のことです。
表面利回りは諸経費を引かずにざっくりと計算するため、目安として用いられます。
表面利回り(%)=年間収入合計(賃料)÷総投資額(物件購入金額)×100
実質利回り
実質利回りは、純利回り、NOI利回り、ネット利回り、キャップレートとも言われていて、年間収入合計から諸経費(管理費・固定資産税)を引いた額の総投資額に対する割合のことです。
表面利回りよりは現実的な数値を計算できます。
※実質利回りには諸経費に減価償却費は含みません。
純収益=年間収入合計(賃料)-諸経費
実質利回り(%)=純収益÷総投資額(物件購入金額)×100
キャッシュ・オン・キャッシュ(自己資本手取額利回り)
キャッシュ・オン・キャッシュは、自己資本に対する現金手取額の割合のことです。
他の金融商品との比較に活用されます。
現金手取額=収入-支出
キャッシュ・オン・キャッシュ(%)=現金手取額÷自己資本×100
投下資本収益率
投下資本収益率は、投じた資本に対してどれだけの利益を出せたかを測る指標のことです。
投下資本収益率(%)=(純収益-減価償却費)÷総投資額×100
レバレッジ効果
少ない資金で大きな投資効果を上げることをレバレッジ効果と言います。
借入金の利率より投資利益率が上回っている時に、自己資金で買えない不動産を借入金で買って高い賃料を得られれば、投資利回りを上昇させることができます。
DCF法を使った投資判断方法
DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)は、将来得られる収益見通しを、現時点での価値に置き直して不動産の評価額とする方法のことです。
DCF法では、不動産保有期間に発生する賃料などの純収益と不動産の将来の転売価格を現在価値にしてから合計して、不動産の収益価格を求めます。
現在価値=将来価値×割引率(複利現価率)
収益価格=将来の純収益の現在価値+転売価格の現在価値
DCF法を使用した代表的な投資判断方法には
- NPV法(正味現在価値法)
- IRR法(内部収益率法)
の2つがあります。
NPV法(正味現在価値法)とは?
NPV法とは、投資額と将来入ってくる金額を、現在の価値に置き換えて比較する方法です。
将来の収益の現在価値の合計(DCF法で求めた収益)から投資額の現在価値を引いて、投資の適合を判定します。
投資に有利と判定されるのは・・・
将来の収益の現在価値の合計>投資額の現在価値
IRR法(内部収益率法)とは?
IRR法とは、正味現在価値(NPV)をゼロにする割引率のことです
不動産投資の内部収益率(IRR)と投資家の期待する収益率(期待収益率)をひかくして、投資が適しているか判断することができます。
投資に有利と判定されるのは・・・
内部収益率>期待収益率
投資判断の基準「DSCR」と「デュー・デリジェンス」
「DSCR」と「デュー・デリジェンス」は、投資判断の基準として活用されています。
DSCR(借入金償還余裕率)とは?
DSCRは、債務返済能力を測る尺度です。
年間キャッシュフロー(純収益)を年間元利金返済額で割った割合を倍率で表します。
DSCRが大きいほど望ましいとされています。
DSCR=年間キャッシュフロー÷年間元利金返済額
デュー・デリジェンスとは?
不動産投資におけるデュー・デリジェンスとは、一般的に投資対象の経済的・法律的・物理的側面などに関する詳細かつ多面的な調査のことです。
不動産の小口化・証券化
不動産の小口化とは、複数の投資家が共同で1つの不動産に投資し、運用する方法です。
不動産の証券化とは、不動産を担保として細分化された証券に、投資家が出資し得られた収益を分配する方法です。
不動産の証券化の1つに投資信託があります。
日本国内で上場している不動産投資信託をJ-REITと言います。