
経済指標を理解できるようになると、金融商品や株式投資などの見通しをたてることができます。
経済指標と聞くとわかりにくいイメージがありますが、できるだけわかりやすく解説していきます。
国内総生産(GDP)とは?
国内総生産(GDP)とは、国全体の経済規模を示す経済指標で、国内で1年間に新しく生み出された生産物やサービスの金額の総額のことです。
GDPは、生産、分配、支出のどの面から見ても等しくなる「三面等価の原則」となっています。

GDPの支出では、個人消費(民間最終消費支出)が一番高い構成比50~60%を占めています。
経済成長率とは?
経済成長率は、GDPの変動率(増加率)のことです。
経済成長率の中でも
- 名目経済成長率・・・物価変動を加味しないもの
- 実質経済成長率・・・物価変動を考慮したもの
となっており、前年と比較して名目経済成長率がマイナスであっても、それ以上に物価が下落していれば実質経済成長率はプラスになるということです。

景気動向指数とは?
景気動向指数とは、経済活動における代表的な指標を、景気に対して先行・一致・遅行を示す3つの系列に分類して算出するものです。

景気動向指数に使われる主な指標について
先行指数:景気の動きに先行して動く指標
- 新設住宅着工床面積
- 長短金利差
- 東証株価指数(TOPIX)
一致指数:景気の動きに一致して動く指標
- 有効求人倍率
- 鉱工業生産指数
遅行指数:景気の動きから遅れて動く指標
- 完全失業率
- 家計消費支出
景気動向指数のCIとDIの違い
景気動向指数には、
- CI:コンポジット・インデックス
- DI:ディフュージョン・インデックス
の2つがあります。

CI:コンポジット・インデックス
CIは景気変動の大きさやテンポ(量感)を示しています。
- 一致指数が上昇している時・・・景気拡大局面
- 一致指数が下落している時・・・景気後退局面
DI:ディフュージョン・インデックス
DIは景気の各経済部門への波及の度合いを示しています。
- 一致指数50%を下回る直前の月・・・景気の山
- 一致指数50%を上回る直前の月・・・景気の谷
全国企業短期経済観測調査(日銀短観)とは?
全国企業短期経済観測調査とは、約1万社の企業を対象に景気状況の見通しについて日銀が四半期ごとに実施するアンケート結果のことです。
景況感を表す指数を業況判断DIで表します。
業況判断DIとは?
マネーストック統計とは?
マネーストック統計とは、一般法人、個人、地方公共団体、地方公営企業などの通貨保有主体が保有する通貨量の残高を集計したものです。

物価指数とは?
物価指数には、
- CPI:消費者物価指数
- CGPI:企業物価指数
の2つがあります。
CPI:消費者物価指数
CPIは、一般消費者が購入する商品やサービスの価格変動を表している指数です。
- 消費税を含んだ価格で集計される
- 全国と東京都区部の2種類の指数を総務省が発表している
- 調査結果は経済政策や金融政策、年金額の改定などに利用される
CGPI:企業物価指数
CGPIは、企業間の取引や貿易取引における商品の価格変動を表した指標です。
- 国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数などがあり、日銀が発表している
- 原油や輸入小麦の価格変動は消費者物価指数よりも先に企業物価指数に影響を与える傾向がある
金融市場とは?
金融市場とは、お金の貸し借りをしている市場のことです。
金融市場には
- 短期金融市場・・・1年未満の取引期間の資金を調達・運用する市場
- 長期金融市場・・・1年以上の取引期間の資金を調達・運用する市場
の2つがあります。
短期金融市場には・・・
短期金融市場には、インターバンク市場とオープン市場の2つがあります。
- インターバンク市場・・・手形市場やコール市場(金融機関同士が短期の資金の貸し借りを行う市場)などの金融機関だけが参加できる市場
- オープン市場・・・CD市場(譲渡性預金の売買が行われる市場)やCP市場(企業が資金調達のために発行する無担保の手形の売買が行われる市場)など一般企業も参加できる市場
長期金融市場には・・・
長期金融市場には、証券市場があります。
- 証券市場・・・債券市場、株式市場
金融政策とは?
金融政策とは、日銀が行う経済政策のことです。
金融政策の主な手法としては
- 公開市場操作(オペレーション)
- 預金準備率操作
があります。
公開市場操作・・・
公開市場操作とは、日銀が金融機関と債権などを売買することで市場の通貨量を増減させることです。
売りオペ(金融引締め)
売りオペはインフレの時に日銀が保有する債権などを民間金融機関に売却し、市場の通貨量を市場金利を上昇させる政策のことです。
買いオペ(金融緩和)
買いオペは、デフレの時に金融機関の保有する債券などを買い取り市場の通貨量を増やして市場金利を低下させる政策のことです。
預金準備率操作・・・
預金準備率操作は、金融機関が日銀に預ける(義務)一定割合の預金量を操作することです。
- 預金準備率の引き上げ・・・市場の通貨量を減らして市場金利を上昇させる政策
- 預金準備率の引き下げ・・・市場の通貨量を増やして市場金利を低下させる政策