以前、所得には10種類あることを紹介しました。
所得10種類について知りたい方はコチラからご覧ください。
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所得税とは?所得税の課税方法は総合課税か分離課税に分けられる。
FPみぃ子今回は所得税について紹介していきます。 税金の種類から紹介 税金は 国税:国に納付 地方税:地方公共団体に納付 直接税:税金を負担する人と実際に納付する人が一緒 間接税:税金を負担する人と実 ...
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① 利子所得は源泉分離課税
以前、利子所得は総合課税だと紹介しましたが、預貯金や一般公社債等の利子所得は、20%の源泉分離課税となります。
特定公社債等の利子は、源泉徴収後は申告不要制度か、申告分離課税を選択する必要があります。
② 配当所得は総合課税
配当所得は、株式の配当金や投資信託の収益分配金などの所得で、原則総合課税の対象となります。
つまり、配当所得は他の所得と合算し、確定申告で税額を精算するということです。
配当所得の計算方法
上場株式等の配当金は、20%が源泉徴収されます。
源泉徴収された後に、申告不要制度、総合課税、申告分離課税を選択することができます。
申告不要制度を利用すると、配当控除や所得税などの源泉徴収税額の控除は受けられません。
1銘柄につき1回支払われる配当金が10万円以下の少額配当の場合も、申告不要制度を選択できます。
③ 不動産所得は総合課税
不動産所得は、不動産の貸付による所得のことで、総合課税となります。
不動産所得の計算方法
- 総収入金額とは・・・家賃、地代、更新料、借地権料、共益費、敷金・保証金の賃借人に返済しない部分
- 必要経費とは・・・固定資産税、都市計画税、不動産取得税、アパート賃貸業にかかる事業税、修繕費、損害保険料、火災保険料、減価償却費、賃貸不動産を取得するための借入金の利子
※借入金元本返済額、所得税、住民税は必要経費になりません。
必要経費を【支出を伴うもの】とする式では、減価償却費は必要経費とは分けて計算します。
不動産所得=総収入金額-{必要経費(支出を伴うもの)+減価償却費}
また、貸付不動産の賃金収支計算では違う計算式を用いて計算します。
経常的収入-{経常的支出+借入金元本返済額}=剰余金
所得に対する所得税・住民税は、不動産所得計算上の必要経費とはなりませんが、資金収支計算上は支出金額となります。
減価償却とは?
減価償却とは、時の経過・利用によって事業で使用する資産の減少していく価値を帳簿上で減らしていくことです。
※土地の経過で価値が減少しない資産は、減価償却の対象となりません。(土地・骨董品など)
減価償却資産の取得金額は、資産の使用可能期限(耐用年数)の全期間にわたって分割し必要経費となります。
償却方法は2つから選べる
- 定額法:毎年同額を減価償却費として計上
【定額法の減価償却費の計算方法】減価償却費=取得価額×定額法償却率×業務共用月数/12 - 定率法:償却残高に一定の償却率をかけて計上
どちらかを選択しなかった場合は、所得税は定額法、法人は定率法となります。
1998年4月1日以降に取得した建物の減価償却は全て定額法で行うようにされています。
少額減価償却資産は全額を損金算入できる
使用可能期間が1年未満、または取得金額が10万円未満の少額減価償却資産は、減価償却せずに全額をその事業年度に損金算入することができます。
資本金1億円以下の中小企業等で青色申告をしている法人・個人事業主は、取得金額が30万円未満の減価償却資産についても取得金額を全額損金算入できます。
④ 事業所得は総合課税
事業所得は、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他事業による所得のことで、総合課税となります。
事業所得の計算方法
- 総収入金額とは・・・確定した売上金額(未収額も含む)
- 必要経費とは・・・売上原価、販売費用、給与・賃金、減価償却費、広告宣伝費、家賃・水道・光熱費、固定資産税、事業税など
事業所得では、必要経費や減価償却費にできる金額は事業で使用した分だけと決まっています。
自動車を自家用20%と事業用80%で使っている場合は、
減価償却費=取得価額×定額法償却率×業務共用月数/12×80%
で計算します。
⑤ 給与所得は総合課税
給与所得は、給与、賞与、手当て、現物給与などのことで、総合課税となります。
給与所得で確定申告が必要な人
- 給与などの収入金額が2,000万円超の人
- 給与所得と退職所得以外の所得が20万円超の人

給与所得の計算方法
通勤手当(月額15万円まで)、出張旅費は非課税となります。
給与所得控除額は年収によって変わる!
年収が180万円以下
給与所得控除額=収入金額×40%-10万円
55万円に満たない場合は55万円となります。
年収が180万円超~360万円以下
給与所得控除額=収入金額×30%+8万円
年収が360万円超~660万円以下
給与所得控除額=収入金額×20%+44万円
年収が660万円超~850万円以下
給与所得控除額=収入金額×10%+110万円
年収が850万円超
給与所得控除額=195万円(上限)
⑥ 退職所得は分離課税
退職所得は、退職時に勤務先から受け取る退職金などの所得のことで、分離課税となります。
退職所得の計算方法
【退職所得控除額】
- 勤務年数20年以下:40万円×勤務年数(最低80万円)
- 勤務年数20年超:800万円+70万円×(勤務年数-20年)
退職所得の受給に関する申告書を提出した場合、適正な税額が源泉徴収されて課税関係が完了するため、確定申告をする必要はありません。
※退職金が控除額以下の場合は、源泉徴収されません。
他の所得から控除しきれない所得控除額があった場合、退職所得の金額から控除することができます。
申告書を提出しない場合は、退職所得控除はされず、収入金額の20%が源泉徴収されてしまいますが、確定申告をすれば税金の還付を受けることができます。
死亡退職の退職金で死亡後3年以内に支給が確定したものに関しては、所得税ではなく相続税の課税対象となりますので、ご注意ください。
⑦ 山林所得は分離課税
山林所得は、所有期間5年超の山林の伐採や、立木のまま譲渡した場合に生じる所得のことで、分離課税となり確定申告が必要となります。
山林所得の計算方法
⑧ 譲渡所得は総合課税・分離課税
譲渡所得は、書画、骨董、金地金、不動産、株式などの資産を売却して得られる所得のことで、長期譲渡所得(所有期間5年超)と短期譲渡所得(所有期間5年以下)に分けられます。
※山林を売却して得られる所得は山林所得なので、譲渡所得ではありません。

土地・建物の譲渡所得は申告分離課税
譲渡所得=総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円)
※特別控除額は、短期と長期の合計額が最大50万円
- 長期譲渡所得・・・税率20%(所得税15%+住民税5%)
- 短期譲渡所得・・・税率39%(所得税30%+住民税9%)
居住用財産(マイホーム)の譲渡益は、最高3,000万円が控除できます。
土地、建物の所有期間は、譲渡年1月1日時点での所有期間となります。
株式の譲渡所得は申告分離課税
譲渡所得=総収入金額-(取得費+譲渡費用+株式購入のための負債の利子)
税率は一律20%(所得税15%+住民税5%)です。
同一銘柄の株式を2回以上購入して一部を譲渡した場合、取得費は【加重平均した1株あたりの科学×売却株式数】で計算します。
贈与や相続によって株式や不動産などの財産を取得した場合の取得日は、贈与者・被相続人が取得した日を引き継ぎます。
上記以外の譲渡所得は総合課税(他の所得と合算)
譲渡所得=総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円)
- 長期譲渡所得・・・2分の1の金額を総所得金額へ算入
- 短期譲渡所得・・・全額を総所得金額へ算入
取得費とは?
譲渡所得を計算する際に出てきた『取得費』とは、譲渡した資産の購入費と仲介手数料・登録免許税・印紙代などの付随費用の合計金額のことです。
取得費が不明な場合、譲渡収入金額の5%相当額を下回る場合は、譲渡収入金額の5%相当額を概算取得費とすることができます。
譲渡費用とは?
譲渡所得を計算する際に出てきた『譲渡費用』とは、資産を譲渡する際に直接かかった費用のことです。
譲渡費用には、仲介手数料、広告料、印紙代、古い建物の取り壊し費用、借家人の立退料などが含まれます。
⑨ 一時所得は総合課税
一時所得は、競馬・競輪などの払戻金や、懸賞やクイズの賞金、保険の満期保険金、解約返戻金、満期返戻金などのことで、総合課税となります。

一時所得の満期保険金、解約返戻金のうち、保険期間が5年以下の一時払いの養老保険、一時払いの損害保険、個人年金保険などの差益は、金融類似商品の収益とみなされて20%の源泉分離課税となります。
一時所得の計算方法
収入を得るための支出額は、当たり馬券の購入費や払込保険料のことです。
一時所得は、総合課税で確定申告が必要となります。
その際、一時所得の2分の1を総所得金額へ算入します。
⑩ 雑所得は総合課税
雑所得は、どの所得にも属さない所得のことで、総合課税で確定申告が必要です。
雑所得
- 公的年金等の雑所得:国民年金、厚生年金、国民年金基金、厚生年金基金、確定拠出年金等の年金
- 公的年金等以外の雑所得:講演料、作家以外が受け取る原稿料・印税、生命保険などの個人年金、仮想通貨の売却益
雑所得の計算方法
雑所得=(公的年金等の収入金額-公的年金等控除額)+総収入金額-必要経費
公的年金等控除額は年齢と収入によって変わります。
出典:国税庁